僕にとっての2台目のクルマはブルーバードでした。
今でも名車と呼ばれているP510型です。
サファリラリーで総合優勝を飾っています。
輸出もされて、アメリカでは「プアマンズBMW」と呼ばれたそうです。ちなみにフェアレディーZは「プアマンズポルシェ」と言われました。ひどいじゃないですか・・・・
とにかく僕が乗っていた頃のブルーバードはとてもスポーティーなクルマで、どちらかと言えば男性的なイメージでした。
ところが、久しぶりに乗った今度のブルーバードは、「完全に女性向け」です。パンフレットにも男は全く登場しないという徹底振りです。
僕はクルマのネーミングも、デザインの重要な要素だと考えています。「ブルーバード」という名前は、日産にとって宝物だと思えるのですが、これだけ中味が違ってくると「シルフィー」にシフトしていくのも止むを得ないかとも思います。
でも、ブルーバードという名前は捨ててしまうには、惜しいです。
全体的なプロポーションは、フーガを縮小したような形ですが、
僕はフーガより美しいと感じます。
特に斜め後ろからのスタイルはグッときます。
何よりの美点は室内の広さと、トランクの巨大さです。
荒川さんが「これはミニバンだ!」と言ったぐらいです。
見た目はセダンにおさまっていて、実は、室内とトランクが異常と言えるくらい広い。デザインのマジックです。
僕が乗った赤いブルーバードは199万5000円。
スタッフ一同、「なんというバリューフォーマネー!」と叫びました。
そして、クルマがどんどん大きくなっていく時代に、
5ナンバー枠に収めたのは大変な英断です。
5ナンバーで、あの広さ、改めて驚きます。

ゲストは、インダストリアルデザイナーの井上頌夫氏。
ノブオと読みます。難読名前サイトに載っていました。
今の仕事に就く事は、小学校高学年の頃には決めていたとおっしゃっていました。
凄いなー、と驚いたのですが、考えてみたらイチロー選手も、
小学生の頃に「プロ野球選手」と決めていました。
僕は、今の仕事に就いたのは「偶然」です。
生涯の仕事を偶然で決めていいものかと、少し考えてしまいました。

 

CAR TOUCHの1回目をご覧になりましたか。
ゲストは、多摩美大の武正教授でした。
愛車シトロエンCXの後部座席には、
鴨のデコイがちょこんと座っていました。
冷房がほとんど利かないので、寒い鴨猟の季節しか乗れない、
というのが武正氏の説明でした。
ところが、後日、シトロエンCXは、フランスでアヒル或いは鴨という愛称で呼ばれていることが分かりました。
実はこれが鴨を乗せている本当の理由ではとお尋ねしたら、
以下のようなお返事が来ました。

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初耳でした。
2CVは「みにくいあひるの子」と、
言われているようですが・・・・
CXが「カモ」「あひる」と言われているとは。

実は、クルマ好きがこうじて、
あのクルマ、このクルマと欲しくなってしまいます。
持てる台数にも限度がありますし・・・
「里子」に出してしまうと手元には、
思い出しか残りません。
で、各クルマ(現在は4台)にマスコットを
おくことにしました。
2台のサーブにはそれぞれ異なる王冠をかぶった犬、
ポルシェ911にはカエル。
CXには、カモといった具合に。

突然話が飛びます。

ご存知でしょうか、浅草雷門近くに、
「並木の薮」というおそばの名店があります。
江戸三薮(神田、上野、浅草)の一軒で、
味的には一番江戸風の店です。
ここの「鴨南蛮」が、大変好きなんです。
鴨は合鴨ではなくて、猟師さんが鉄砲で撃ってとる
本物の鴨なんです。フランス風にいう「ジビエ」ですね。
毎年、鴨猟が解禁される11月から春先までの限定メニューで
この鴨南蛮がいただけます。
寒い時期に、鴨の油は、身体かあったまりますね〜

再び話が戻って。
この時期、11月から春先まで・・・
・・・奇しくもCXの乗り時なんです!
1年中で一番快適にドライブが出来るわけです。
で、鴨がマスコットになったというわけです。
自分的には、納得の理論。

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このメールを頂いたのが2005年12月28日でした。
武正さんは、東京の下町の和菓子屋さんの息子さんで、
下町の旨いもの情報は、間違いのないものに違いありません。
蕎麦は僕の好物で、“並木の藪の鴨南蛮”がこの時インプットされました。
いつか行かなくては、と思っているうちにどんどん時間が経ち、
突然、鴨南蛮は3月いっぱい、と知りました。
で、3月31日、慌てふためいて浅草へ出かけました。
ありがたい事に、この日はかなり冷え込んで、鴨南蛮日和でした。
超有名店なので、あまり混んでいないだろう時刻を考えて、
午後2時に到着しました。
暖簾を分けて入ろうとしたら、中からガラッと開いて、
「申し訳ありません、暫くお待ち下さい」とのこと、やはり満席でした。
2分ほど待って、中へ通されました。
それほど広くない店内は、左側3分の2ほどがお座敷、あとは椅子席が右側一列に。一番奥の椅子席に案内されました。
とにかく「鴨南蛮!!」と注文。すぐに「お待ちの間、これをどうぞ」と今日の朝刊。ゆっくりと店内を見回すと、お座敷の奥に陣取った旦那衆はかなりの数の徳利を並べています。良く見ると、殆どの男性陣は徳利有り。
年度末の31日に、実に長閑な空気。
「蕎麦屋で一杯」、江戸の町そのままです。
調理場に3人、店内に3人、皆さん中年以上の方です。
要するに大人の店です。丁寧過ぎず、ぶっきらぼうでない、応対は実に快適。 食べ物屋さんは、客への対応が味の5割を左右します。
さて、鴨南蛮です。真ん中に鴨肉のすり身の大き目のツミレがドーンと。
それを取り巻くように、脂がしっかり付いた鴨肉が4,5切れ。
その周囲に、味がしっかり浸み込んだ長葱がたっぷり。
表面には、うっすらと良い香りの脂が浮いています。
蕎麦も鴨も旨かったです。
鴨肉は、武正さんのおっしゃるように、合鴨ではなく、やや固めで、歯ごたえがしっかりしていて、噛むほどに鴨の味が・・・・・・・・
今度、ここの鴨南蛮にありつけるのは、11月です。


いざ、地下鉄で出発! まず銀座を目指す。 銀座駅で、銀座線に乗り換え。 ホームに入ってきた浅草行き。撮影失敗。 浅草に到着。床にしっかり書いてある。迷いようがない。
3月31日。皆が忙しい日に何故、というぐらいの人の波。 雷門を背にして、この道を100mぐらい行くと、ソレはあるはず。 途中の人だかり、はとバス乗り場。浅草に人が集まってくる。 見えてきました!
ここが「並木の藪」。 このあたりは、昔、浅草並木町だった。 これが、噂の鴨南蛮。フラッシュを焚いたので表面の脂が誇張されている。隣が、その新聞。 あっと言う間に完食。ここのザルのタレはとても濃い。鴨南蛮のツユもやや濃いめ。いつもは全部飲むのですが。 食べ終わって外へ出ると、そこは駒形橋西詰。
橋のたもとの桜。冷たい川風のためか、まだ2分咲き。 駒形橋からの隅田川。上流方向を見る。 隅田川沿いに、ブラブラ南下。途中の駒形どぜう。 駒形橋のひとつ下流の橋、厩橋。
ここを右に折れて大江戸線へ。 大江戸線、蔵前駅 ホームへ入ってきた両国方面行き。大江戸線の車両はややコン
  パクトなことが分かる。今度は撮影成功。
 
我が家の近くの桜。東京は今満開です。  

 

 

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撮影準備はいつも通り。

内装のチェック。落ち着いた色使い、上等な仕上がり。

後部座席の足元のゆとりに驚く。

広大なトランクルームに一同驚く。

お気付きでしょうか。クルマの色とスニーカーの色を合わせています。

こうして見ると、5ナンバーのコンパクトなパッケージ。
こうやって見ただけでは、後席の広さ、広大なトランクルームはとても分からない。
いつものレストランの前です。
このクルマは、この角度が最も美しい。

井上氏デザインの腕時計。

20年乗り続けている500SL。

見惚れている、と言っていい。

この近辺で40年仕事と生活をしてきて、初めて見た地下道―飯倉片町にて。