先日、マニア注目のシトロエンC6に試乗する機会がありました。
実はドイツに出発する前にその話はあったのですが、何かと慌しく、 ドイツから帰ってしばらくしてから実現しました。
CAR TOUCHが中断していなければ、間違いなく取り上げたクルマです。僕も海外での試乗記などを読む度に、非常に気になっていたクルマです。
今回はひとりでの試乗で、デジカメでの撮影となりました。


 
 

シトロエンC6の素晴らしさは、何と言ってもそのデザインにあります。このクルマの写真を最初に見た時、しばらく言葉を失うぐらい興奮したことを良く覚えています。
とにかく、オリジナリティーに溢れています。独創性の塊と言ってもいいでしょう。世界中のどのクルマにも似ていません。
最も凄いのは、1955年に発表されたDS、その後を継いだCX,XMのデザインの流れをしっかり継承している点です。そしてそれが今の時代に見事にフィットしているだけではなく、時代をリードする先鋭さも備えています。
本国では、まず公用車として販売されたようですが、後席は広大で、あの大柄なシラク大統領もゆったりと時を過ごせるでしょう。
ドゴール大統領もこのクルマがとても似合いそうです。
簡単に時空を飛び越えるのがC6の不思議なところです。

             
リアウィンドウは、CXと同じく逆ゾリしている。   この写真の方が分かりやすいと思います。   木漏れ日の中のC6はとても美しいです。   ホイールのデザインもかなり凝っています。

リアの部分に注目して下さい。
ダブルシェブロンのマークが付いているパーツと、リアウィンドウに接するパーツの間に、細長い部分があります。
ここから、65km/hを越えると第一段階のスポイラーが、
125km/hを越えると第二段階のスポイラーが出てきます。
なんとか撮影しようと思ったのですが、ひとりでは不可能でした。

その部分を、トランクをあけて裏から見てみると、
かなりの仕掛けが収まっているようです。
  さて、インテリアです。驚異のエクステリアと比べると、ごく普通です。   ハンドルのセンター部も、C4と違って、一緒に回ります。

エンジンはV6, 3リッター、215psです。
全生産量の80%は、2.7リッターのターボディーゼルだそうです。メルセデスも間もなくディーゼルのEクラスを日本で発売するので、シトロエンも是非ディーゼル導入を検討して欲しいものです。

インテリアで目に付いたのが、ドア内側のもの入れです。
木目調のカバーが、ゆるやかに上下します。4枚のドア全てに付いています。

シトロエンC6 全長4908mm 全幅1860mm ホイールベース2900mm サスペンションはハイドロが更に進歩した「電子制御アクティブサスペンション」 6速AT
車重は1.8トンありますが、3リッターのエンジンで力不足は感じません。もっとも山道を走り回ったらわかりませんが。
僕は基本的にFF車はあまり好みません。今のFFは一昔前とは違って、FFであることすら、運転してもわからないクルマがほとんどですが。しかしながら、このシトロエンの“トラクシオン・アバン”には敬意をはらって乗り込みました。
とにかく、ひと目見て、やたら「長い」のでまずそれに神経を使いました。ところが、これもDS以来の伝統でかなり小回りが利きます。
写真を見てお気付きの方もいらっしゃると思いますが、
白いOB杭が見えるところはゴルフ場です。カート用の細い急カーブも何とかクリアーしました。
問題のサスペンションも、首都高の段差をこれだけ見事にこなすクルマはそうはありません。ただ、多摩美の武正教授のCXのサスペンションに比べると、ごく普通の乗り味でした。
今回のC6は、東京モーターショーで展示されていたクルマそのもので、走行距離も3000kmをやっと越えた程度で、個体としては、完璧なものではないと推測されます。
とにかく運転しながらも、振り返って見える後席がとても居心地が良さそうで、ショーファーのいる方のクルマとしてはとても良い選択肢だと思います。CAR TOUCH#12のジャガーも新しいイメージの社長車だと思いますが、このC6を乗りこなす経営者は、とてつもなく魅力的に見えると思います。


高速のサービスエリアに停めると、やはり目立ちます。
ジーッと観察する人が何人もいました。


最近多くなりましたが、フロントウィンドーにスピードが表
示されます。勿論昼間でもよく見えますが、夜、ライトを消すと綺麗に浮かび上がります。

走りながらの撮影は、かなりのテクが必要です。

CAR TOUCHのプロデューサー福島嬢が、シトロエン・ジャポンから借りてきたところ。OTOビルの前。

内部をのぞき込んでいるのは、これもCTの共同プロデューサーの岡さん。
さて、OTOの前でクルマから降りてきた福島嬢は「暑い、暑い」と叫んでいました。もちろんクーラーは利いていたのですが、シートヒーターも良く利いていたとのことでした。

運転席下に、縦に回転する「シートヒーター」のダイアル式のスイッチがありました。助手席も同様です。
おそらく、乗り込む時に福島さんのかかとが触れたんだと思います。僕も試乗中に同じ経験をしました。
先行販売している国ではクレームが付いているにちがいありません。


試乗を終えて我が家に帰ってきたら、ルーフに「鳥のフン」
ゴルフ場に入り込んだ罰でしょうか。

最後に、シトロエンが出しているパンフレットからの写真をご覧ください。素晴らしいデザインのクルマですが、素晴らしくフォトジェニックなクルマでもあります。